マ王カンタービレ







いつものように、眞魔国へ召還されたユーリ陛下。
ところが、今日は迎えの面子の中に婚約者ヴォルフラムの姿がない。

とはいえ、まああいつも用事があるのかもしれないし、血盟城に行けば会えるだろう と軽く考えながら城へ到着した陛下。魔王専用部屋へと向かう道すがら、この後の スケジュールを考える。

(やっと帰ってきた。すぐに執務にとりかからないとな)

そして部屋の前に到着し、扉に手をかけた。

(いや、その前に風呂か。……あいつ、何してんのかな)

そう思いながら重厚な扉を開け、部屋に足を踏み入れた。ところが。

(え?)

部屋には誰の姿もなかった。チェックインしたばかりのホテルの 客室のように整然と整えられており、人がいた気配がまるでない。
戸惑いながらユーリは室内を見渡す。無意識のうちにヴォルフラムを探してしまうの だが、彼の姿はおろか、いた形跡も見当たらない。

(この前来た時は、確かにここにいたのに)

自分の部屋なのに何処か居心地の 悪い気分でソファに腰掛け、頬杖を付いた。

(……ていうか俺、何でこんなに動揺してるんだ?)

自分が何故こんな 気持ちになるのか分からず、ユーリは眉間に皺を寄せた。

(あいつがこの部屋にいて、あのソファにふんぞり返っていれば大丈夫だと……)

そしてハッとする。

(……大丈夫って何が!?)

次の瞬間、自分の中にこんな風景が浮かんだ。

↓  ↓  ↓






陛下が自分の気持ちに正直になるまで、まだもう少しかかる。 <End>








時期的にいつ辺りなのかはスルーの方向で……




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